医学生物学系のPh.D.研究者として企業で生き抜く方法



第8回(更新日:2012年8月17日)

目立たない社員として生きるリスク 2ページ目/全2ページ

コメント2

目立たない社員を目指すこと自体は悪い方法ではないと思います。しかし、貴連載で何度も触れているように博士号を持った社員への期待は高く、特に、博士課程を修了して入社した社員への入社1年間は非常に注目が集まっています。

そのため、第7回の文章で強調されていた目立たない社員への方法をとってしまうのは、あまり得策ではないと個人的には思います。

私自身としては、入社から数年(3年程度で充分)は必死で働いてパフォーマンスと人当たりが良い博士社員を演じて、その後は目立たない社員となるための言動をとるのが最もコストパフォーマンスが良いかと思われます。

貴殿もお気づきかと思いますが、日本の(特にそれなりの規模に勤めている)社員は節穴というか人を見る目がない人が多いので、一旦良い評判を得てしまったあとは、マイナスとなることをしなければ良い評価は続きます。それが会社ひいては日本社会にとって良いかどうかはわかりませんが、博士社員個人の幸せを考えればローリスクハイリターンな生き方なのではないでしょうか。

この方は会社経験が長い方のようです。もしかしたら私よりもずっと会社の内情に詳しいのかもしれません。今回いただいたコメントも、大事な点が凝集されており、私が付け加えることはありません。そして、このコメントは一つ目のコメントにあった質問の答えにもなっているように思います。

すなわち、

・目立たない社員として生きるという戦略は、自分に注目が集まっているとき(入社直後など)に良い評価を得るということが前提条件となる
 ・入社から時間が経過すれば自分への注目は薄まるので、その時点で改めて目立たない社員としてやっていく

ということです。

コメントを頂いたお二方に改めてお礼申し上げます。さて、実は目立たない社員として生きていくことに関しては、あと二つほど潜在的なリスクがあります。それは、研究能力の低下と人脈の断絶です。この二点について次回は考えていこうと思います。

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執筆者:川口隆史

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