医学生物学系のPh.D.研究者として企業で生き抜く方法
Tweet第14回(更新日:2013年7月18日)
他人の自慢話をいかに見破るか 2ページ目/全2ページ
2番目のリクルーターの何が良かったかというと、その方は物事を何でも客観的な指標を持って説明してくれたのです。
例えば、今まで何人の方の転職を手伝いましたか?という質問にも、実際に数字を出す事はもちろん、その内訳までもきちんと答えてくれました。同じ質問を1人目のリクルーターにしても、「いやぁ、今までは色んな人を見てきましたからねー、でも、そのうちの8割くらいは希望以上のところに転職できているんですよ」みたいな感じで主観的な答えしかもらえませんでした。
そして、その2番目のリクルーターの方に受けたアドバイスがとても重要でした。それは「面接では、自分の売りを客観的な指標とともに示すように」というものでした。
なぜ、私がこのようなアドバイスを受けたかというと、「日本で転職をしようとする人はホラ吹きな人が多く、実際の自分よりも自分を大きく見せる傾向にあるため面接官は最初から求職者の言葉を疑ってかかっている」という転職業界独自の背景があるからのようです。
実はこのことは、企業にいる博士号取得者の社員にとっても、非常に重要なことではないでしょうか。
これまでの連載で私は、企業の博士社員は社内では無駄に目立たないことをお勧めしてきました。その目的のためには、会社内での自分の立ち位置を正確に把握する必要があります。そういったとき、周りの社員の仕事に関する自慢話をバカ正直に受けてしまうと、会社内の勢力図や力関係を正確に把握することが出来なくなる恐れがあります。
そのため、他人の自慢話を聞いたときは、その人の話のどの部分が客観性があり、どの部分が単なる自己申告かを注意深く聞き分ける必要があります。
今回は「医学生物学系のPh.D.研究者として企業で生き抜く方法」というタイトルの連載であるのに、博士研究者とは関係のない一般的な内容になってしまいました。ですが、他人の話をそのまま信じないということは、会社で生きて行く上では必要なことだと思われますので、皆さんも今後はこの点に少しでいいので注意を払ってもらえればと思います。
執筆者:川口隆史