博士女子のための就職活動Tips
Tweet第5回(更新日:2012年7月30日)
企業面接について
書類審査を通過したら、次は面接となります。博士課程の女性の学生を採用する企業の場合、大抵は面接は2回です。
・一次面接・・・研究所の研究員と人事担当者による面接で、 パワーポイントなどを使って自分の研究内容のプレゼンテーションをします。
・二次面接・・・役員面接で、研究本部長や人事部長などによる面接です。 2回目の面接が最終面接となります。
中には「0次面接」にあたる面接を行う企業もあります。 これはたとえば、筆記テストと研究所見学、学生数人を1グループにして 研究員と「懇談」(これは実際にはすでに面接であるといえる)を行ったり グループディスカッションをさせたりします。
どの段階の面接でも、 面接会場そのものだけではなく、 控え室や廊下などでの行動にも気を配りましょう。 基本的に、その企業の敷地内に入ったときから 面接終了後、門を出るまで、 すべての挙動はチェックされているものと思ったほうが無難です。
面接の内容
1. 一次面接
前述したように一次面接は、研究所の研究員や人事担当者による面接です。 主に自分の研究内容を問われます。
最初に自分の履歴や研究に対する姿勢、 その企業の志望動機など一般的な事柄を質問されます。その後に、 パワーポイントなどを用いて自分の大学での研究概要をプレゼンテーションします。 そしてそのプレゼンテーション内容に関して質問されます。
また、同じ日に適性検査や数学、英語のテストをされることも多いようです。
自分の研究が志願する業種の研究にどのように結びつくか(例:製薬企業なら創薬)、ということは 十分に考えて行くべきだと思います。 実際、それは質問されます。
現実には大学での研究が実用化されることはほとんどないので、 自分の研究がいつか製品に結びつく可能性は低いかも知れませんが、 それはそもそも大学というところの研究目的や研究費、設備などの 制約によるものなので仕方がありません。
それでも、夢物語で十分なので、 可能性を語れることは必要だと思います。 面接官がこういう質問をするときは、 現実問題としてその学生の研究から新しい製品が生まれるかどうかではなくむしろ、 企業での研究に結び付けようという意欲と発想があるかどうかをチェックしているのではないかと思います。 周りを見ずにただ盲目に日々の実験をしているわけではないということを アピールするよい機会でもあると思います。
2. 二次面接
相手は面接慣れしているので、一般には就職面接で聞いてはいけないとされていることでも上手に聞いてきます。
たとえば「博士課程に進学するときいてご両親は心配されませんでしたか?お父さんも研究職なんですか?」などと間接的に 親の職業を尋ねられたり、「博士号を持って入社したら将来的には人の上に立つことになるだろうけれども、 男性の部下を持つことが嫌ではないですか?」とか。勤務地の話などもそれとなく会話に入れて聞いてきました。
今にして思うと、そういった質問への回答そのものを聞きたいということがあったとしても、それ以上に、その人の 人柄や意欲、素性といったものを試されていたのかもしれません。
3. 面接の共通事項
最初に、いきなり「自己紹介を○○分でしてください」と言われる場合があるので、 これは準備しておきましょう。 私は5分というのを経験しましたが、 実際には1分とか3分という指定もあるようです。
博士課程に在籍しているのですから、基本的に最初は自分の大学院での研究内容について話すべきだと思います。 そして、性格について、自覚していることを述べます。 当然、長所を嫌味にならないように説明するのがいいと思います。 さらに、どういう研究者を目指しているかということも説明したいところです。
1分なら本当にさらっと軽くしか言えませんから、 話すのに詰まっていたら結局何も言えずに時間が終わってしまいます。 簡潔に述べられるようにあらかじめ準備しておいたほうがいいと思います。
3分、5分なら、それに具体的なエピソードを加えて 少し詳しく述べればいいと思います。 特に、研究内容について、 「自分の研究内容のこんなところに魅力を感じて 自分は毎日研究してるんだ」ということが 伝えられればよいと思います。
面接の最後に「何か質問はありませんか」と聞かれることは非常に多いので、 これも準備しておいた方がいいと思います。
何も質問をしないのは一般的には印象がよくないとされています。一次面接用と二次面接用(場合によってはゼロ次面接も)に分けて準備しておくのが良いでしょう。 実際、聞いてみたいことはいくらでもあると思います。
ただし、もちろん、働く気があるのかどうか疑われる質問はやめましょう。 やたらに勤務地についてこだわった質問をするとか、 休暇についての質問など。
また、いわゆる「女性ならではの質問」は、私個人としては避けた方がいいと思います。 企業にとっては、 出産や育児などの正当な理由であってもやはり 社員に長く休まれるのは損失なのであって、 女子学生の採用は避けたいというのが本音だと思います。
そういう社会通念に問題はあるとは思いますが、 今のところそれが現実ですし、 男女問わず、企業にメリットをもたらす人材は誰かということを 企業側は目を皿にして探しているわけですから、 仕方がないことだとも言えます。
その中で女子学生が採用してもらおうと思えば、 自分が女性であることを、 何も隠したり卑下したりはしなくてもいいと思いますが、 自ら前面に押し出すのは自分にとって損だと思います。
私がした質問は、基本的にはその企業の会社案内で見た その企業の特徴的な点について、 もう少し詳しく知りたい、というものでした。 たとえば、「人事評価制度に工夫をしていると書いてあるが、 どういう基準で評価するのか」などです。
*本連載は、2008年と2009年に都内で配布された「理系女子のための就職活動応援パンフレット」の一部を改変したものです。