博士女子のための就職活動Tips



第19回(更新日:2012年12月17日)

就職留年という選択肢はありなのか

「第1回:はじめに」から読む

博士課程で研究をしている人にとっては、就職留年という単語は聞き慣れないものだと思います。この単語は、大卒就活の過酷さに伴い、数年ほど前から使われ始めたようです。

日本企業の新卒信仰は海外から見れば異常で、それこそ意味もなく(日本企業にとっては意味があるのでしょうが)新卒採用に固執しています。そのため、大学卒業までに内定をとれないで卒業してしまった学生は、その後は新卒採用枠外となり一生を非正規雇用として過ごさなければいけなくなる可能性が高くなってしまうようです。このような背景があり、一部の内定をとれなかった学生は敢えて留年することで、翌年も新卒採用を目指して就活をすることがあるようです。

学部生と博士の就職活動は基本的には大きく異なるので、博士課程の学生にとっては就職留年は関係ないと私は思っています。しかし、就職活動の厳しさは今後も軽減する見通しが立たず、ごく最近になって博士女子(男子も?)の一部で就職留年の話題が出始めているようです。

博士女子の就職留年に関しては調査もなにもされていないので、以下はあくまでも私個人の考えになるのですが、博士女子が就職留年するのは百害あって一利なしだと思います。日本の場合は、学部にもよるかもしれませんが、基本的には博士課程の3年間(獣医学部では4年間)で博士課程を取得することが前提となっています。そして、そのことは日本企業の就職担当者も当然のことながら知っています。

そのため、仮に就職活動のために留年したとしても、博士課程を普通よりも1年余計に過ごしたとなれば、それは研究能力の欠如と見なされてしまうことになります。また、仮に自分の留年は就職活動のためで博士号自体はきちんと規定の年数で取得できたと主張してそれが認められたとしても、前年にどこからも内定をもらえなかった博士学生を採用したいと思う会社は極々稀だと思います。もし万が一、就職留年をしたことに関して教授がそれをカバーするようなレターを書いてくれるとしても、そのような理解ある教授であれば、留年する前の就職活動で強力なレターを書いてもらうようにお願いをするべきだと思います。

とは言え、内定がとれずどうしようもない場合もあるかと思います。そのときは、2〜3年間アカデミアで研究の経験と業績を積みながら、ひたすら就職のための人脈をつくるべきだと個人的には思います。いずれにしろ、博士女子にとって就職留年というのは泥沼へ足を踏み入れることになるのではないかなと私は思いますし、私の周りの人もそういう認識でいるようです。退路を断って頑張るというのは言うのは楽なのですが、少なくとも就職留年という道は退路ではないはずです。

*本連載は、2008年と2009年に都内で配布された「理系女子のための就職活動応援パンフレット」の一部を改変・加筆したものです。

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