米国グリーンカード取得の体験談
Tweet第4回(更新日:2013年9月12日)
グリーンカード取得に必要な業績
研究者がグリーンカードを申請するには業績が必要です。ということで、今回はどのくらいの業績が必要とされるかについて、ご紹介します(私個人の意見ですが)。
雇用主スポンサーの場合は、業績よりは雇用主(ラボのボス)から必要とされるかどうかの方が重要です。ただし、言うまでもありませんが、雇用主から必要とされるには業績が必要となります。
この場合の“必要な”というのは、ケースバイケースなのですが、自分がいなくては困るとラボのボスに思わせることを目安とすると良いかもしれません。なので、いわゆる業績(論文の質や量)だけでなく、特殊な技術があったり、ボスやラボにとって“便利な人”というのも“雇用主から必要”だと言わせるポイントとなるかもしれません。
セルフスポンサーの場合、もっと客観的な指標が必要になります。つまりは、研究論文(や学会発表、受賞歴など)がとても重要になります。
なのですが、私の周りでは、筆頭著者の論文1報と共著論文が2報の合計3報のみでEB2セルフスポンサー(=NIW、第2回を参照)でグリーンカードが取れた人がいます。掲載ジャーナルはいずれもimpact factorが5未満でした。
そのため、グリーンカード取得においては、必要な業績(論文)はそれほどハードルが高くはなさそうです。ただし、その場合は、自分という研究者がどれだけ優秀なのかを、うまくアピールする必要があります(弁護士次第という側面もあり)。
もちろん、筆頭著者の論文がゼロでは難しいでしょう(アピールのしようがないので)。しかし、ある程度の論文があれば、グリーンカード取得という目的であれば問題ないように思います。
EB1セルフスポンサー(第2回を参照)では、一般的にEB2セルフスポンサーよりも目立つ業績が必要です。
ただし、EB1セルフスポンサーとEB2セルフスポンサーではそもそもアピールするポイントが違うようです。EB1セルフスポンサーでは、申請者がいかに優秀な研究者であるかをアピールするのですが、EB2セルフスポンサーでは、申請者がアメリカに滞在することがいかにアメリカの国益にかなうかをアピールすることになります。
いずれにしろ、私個人の感覚では、グリーンカード取得に必要な業績はそれほど高くないように思います。ただ、弁護士によっては非常に高い業績を申請に要求してくる人もいるので(私はアメリカでグラントを取っていたのに、NatureやScienceの論文がないからグリーンカード取得は厳しいかも、と言ってきた弁護士もいた)、きちんと弁護士と話し合うことが必要だと思います。
執筆者:グリーンカードを保持している日本人研究者@アメリカ
(注:本連載はあくまでも一般個人の体験談です。当該情報に基づいて被ったいかなる損害についても、BioMedサーカス.com及び著者は一切の責任を負いかねます。)