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Tweet第1回(更新日:2013年9月3日)
自己剽窃(自己盗作)は何が問題なのか?
【読者からの質問】
最近ジャーナルに論文を投稿したのですが、以前出版したものとデータが部分的に重複しているという理由で、リジェクトされてしまいました。同じ研究の続きの論文だったので、確かに前に書いた論文のデータを一部使用しました。なぜ過去に発表した自分のデータを次の論文で使うことが認められないのでしょうか?
自己剽窃とは?
論文がリジェクトされてしまったとのこと、それは残念でしたね。重複出版は自己剽窃(自己盗作)とも呼ばれており、著者が自分の論文を全文そのまま再出版したり、新しい論文を執筆する際に以前執筆した文章を再利用したりすることは、剽窃の一種と定義されています。
著者が自分で版権を持つ論文を再利用することは、その過去の論文が適切に引用されている場合には認められます。しかし自分が過去に発表した論文を新しい論文として発表することは、出版倫理に反することになってしまいます。
また、重複出版は著作権の侵害につながる可能性があります。論文が出版に向けてアクセプトされると、出版社は著者に、論文が著者のオリジナルや、過去に出版されていないことを保証する書類を提出するように求めることがよくあります。著者は自分の過去の出版物から関係ある個所を引用することはできますが、前に報告されているデータを二重に出版することは出版倫理に反すると考えられます。
出版倫理ガイドラインを重んじるジャーナル編集者
出版倫理委員会(the Committee on Publication Ethics, COPE)の発表したガイドラインによると、論文の重複が発覚した場合、ジャーナル編集者はその論文掲載を取りやめなければなりません。そこで、各ジャーナルは重複した論文の投稿を防ぐため、特定のガイドラインに従っています。
例えば、ジャーナルNew England Journal of Medicine(*pdfファイル)は、ジャーナル掲載を検討している論文の著者に対して、以下を編集者に提出するように求めています。
・今までに出版された論文のコピー
・現在準備中の論文のコピー
・すでに他のジャーナルに投稿した論文のコピー
また、自分が以前出版した論文に基づく論文を書く場合、前の論文にふれた箇所すべての引用をつけることが重要です。また、現在の基礎研究を加えるとさらに良いでしょう!
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記事執筆:カクタス・コミュニケーションズ株式会社【英文校正エディテージ】http://www.editage.jp/