Nature/Scienceのニュース記事から
Tweet第83回(2015年3月31日更新)
科学雑誌の”Fast-track”査読に懸念の声が上がる
Nature Publishing Group (NPG)はNatureを初めとした様々な科学雑誌を出版している。その中のScientific Reports誌では、著者が$750を払えば3週間以内に掲載可否の決定をするというサービスを3月24日から試験的に開始した。
このほど、これに抗議して同誌のEditorial Advisory Panelのメンバーの1人が辞任した。彼は、このようなシステムはお金がある研究者とお金がない研究者を別々の論文発表経路へと分かれさせるものだと懸念している。
NPGが2014年に著者らを対象に行った調査によると、70%の著者が査読の遅さに不満を持っており、67%の著者が、出版社は別の査読方法を試してみるべきだと考えているのだという。
NPGはFast-track査読を運用するために、独立した査読や原稿準備の補助などのサービスを提供している外部業者と提携している。NPGは「このFast-track査読サービスの試験的運用は、Fast-trackでない通常の論文の扱いになんら影響することはない。Fast-trackの論文も、通常の基準に従って掲載可否の決定がなされる。」としている。
挙がっている懸念としては、「分野によって、このような目的で使うことが認められる資金がある場合とない場合がある」「出版できる論文数に制限のある雑誌においては、お金を払えば順番抜かしができるようなシステムでは、資金が潤沢にある研究者ばかりが有利になる」というようなものがある。
Scientific Reports誌のFast-track査読がどのように受け入れられていくかに注目が集まっている。
http://www.nature.com/news/concern-raised-over-payment-for-fast-track-peer-review-1.17204