医学生物学系のPh.D.研究者として企業で生き抜く方法



第4回(更新日:2012年5月31日)

どうすれば博士卒は『使える人』になれるのか?[Part-2] 1ページ目/全2ページ

第3回に引続き、使える博士卒となるための方法について論じていきます。

前回は、“使える博士卒”になるための2つの重要なポイントのうち、内面(自分の心)の問題を解決することについて考えました。今回は、もう1つのポイントである外部(周りの社員)への対処法を学ぶことについて述べていこうと思います。

これまでも述べてきましたが、博士卒社員に対する周囲の見る目(良い意味でも悪い意味でも周りからの期待)は修士卒社員へのそれよりも厳しくなります。もちろん、博士卒新人の方が修士卒新人よりも初任給が3〜4万円高いですし、博士卒の方が(普通は)研究能力が上なので、ある意味このような違いがあるのは当然のことだと思います。

しかし、修士卒と博士卒への対応の違いは、上記のような給料の差およびscientificな理由によるものから生じるものではないことが多いです。そして、そのために博士卒は苦労することになります。

博士卒社員が持っている博士号の称号(Ph.D.)は、修士卒の偉くなりたくてしょうがない人から見ると、羨ましいものらしいです(本人はそのような意識を認めていないことが多いですが)。そのため、そのような修士卒が多い職場ですと、自然と博士卒に対する態度が厳しくなっていきます。また、高卒および大卒の技術職の中には、博士卒で入社してきた人のことを、頭でっかちでエリート意識に凝り固まった奴という先入観で見てしまうこともあります。したがって、日本的企業では、ある意味で即戦力として見なされる博士卒社員は、仮に“新卒採用で就職した”としても中途採用(=ヨソ者)のような認識をされてしまうことがあります。

話は逸れますが、ここで1つ誤解を解いておきたいと思います。企業で働く研究員・技術員の全員が博士卒社員に対して上記のような意地悪な見方をするわけではありません。むしろ、このような意地悪な見方をする人は少数派だと思われます。

しかし、意地悪な見方をする人というのは、残念なことに、力のある派閥にいることが多く、それゆえ偉くなる可能性が高いです(技術員の場合、偉くなることはないものの周りへの影響力が大きい)。そのため、こういう意地悪な人たちに立ち向かうのは、たとえ正攻法だとしても、避けた方が無難です。数は多くないとは言え、彼らは部署内外での影響力が強く、独自のネットワークを持っているので、あっという間に干されてしまうことがあります。また、そのような人と対立をすると、中立の立場にある普通の人たちにまで、争いごとをしているという理由だけで避けられてしまう恐れもあります(今でも日本は良くも悪くも和の国のようです)。

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