海外ラボリポート



常木雅之 博士 〜米国イェール大学から(2012年01月16日更新)

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海外で生活していると、日本の素晴らしさが身に染みる。日本を離れて得られる知識のひとつが、日本の素晴らしさであるということがとても皮肉である。日本の生活環境(衛生面・食事・治安)は本当に洗練されていて、もはや美しい。また、ソーシャルセキュリティ・医療もハイレベルなものが当然の様にそこにある。当たり前のように、そこにあった時には空気の様に気が付かないが、失って初めて、はっとする。

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Madri教授は私の父と同じ年齢で、少年の様に目を輝かせながら、サイエンスを話す。Madri教授のもとで実験をし、砂糖の塊のようなクッキーを食べながら、データの議論を日常的にできることは、幸運という以外に表現のしようがない。「研究者が実験について語るとき、平等な視点でデータを見なければならない」と仰り、医学部生への教育や、病理解剖・診断の合間にも、自らマウスの手術をしたり細胞を管理したりする。数十年後、私自身も、Madri教授の様にアクティブでありたいと目標にしている。また、研究成果を論文にまとめるとき、どのように自分の考えを主張し、どのような理由で投稿雑誌を選ぶかについて、長時間かけて教えていただいたことは、一連の研究遂行の上での基盤となった。時流に左右されない芯の通った研究を継続していきたい。

2週間に一回ずつ、血液病理を専門とするPIのラボと、小規模な研究ディスカッションを朝に行っている。各回ごとに、持ち回りで自分のデータを見せ合い、例のごとく砂糖が飽和しているケーキなどを食べながら、建設的な議論をする。このディスカッションは非常に研究を発展させるうえで有効である。自分では全く思いつかなかった発想を、仲間が砂糖とクリームをコーヒーに大量に投入しながらボソッと提案し、実際にやってみたら、何とも面白いデータになり、論文のディスカッションが大幅に変更されたりする。いろいろな薬品を混ぜて起こる、発熱反応に似ている。

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