医学生物学研究者のための英文履歴書作成講座



第3回(更新日:2011年12月21日)

Referenceの重要性 1ページ目/全3ページ

今回はReference(身元保証人もしくは推薦人)に関してです。

ほとんどの方がご存知かと思いますが、海外(特に米国)は日本とは違い人材の流動が激しいです。日本では、組織の大部分の人間が新卒採用ということは珍しくありません。しかし米国では逆に、組織の大部分のポジションが中途採用で埋められているということが普通です。

見過ごされることも多いのですが、この違いは日米での履歴書の違いを把握する上でかなり重要です。日本では新卒採用が主なため、採用可否の判断材料としての職務経験の重要性は高くありません。逆に米国では、中途採用が普通であるため、職務経験の善し悪しが直接的に採用の可否に繋がります。

  これは、医学生物学の分野での採用にも当てはまります。米国での採用は、インダストリーやアカデミアを問わず、即戦力になるかどうかが最重要判断基準となっています。将来性に期待するという日本流の文化は、それ自体は美しいものなのですが、米国では通用しないと考えた方が無難です。

例えば、米国アカデミアのラボにおいて2年前後の任期のポスドクを雇う場合、ラボのボスは”その人の将来性に期待”といった悠長なことを考える余裕がありません。米国のラボは5〜6人の小規模で研究をすることが多いので、ラボ・メンバー1人1人の役割はかなり大きくなります。したがって、たった1人のポスドクであっても、その人が成長するまでデータが出ないという事態に陥ってしまうと、ボスの研究人生およびラボの存続に致命的なダメージを与えてしまいます。

このことは、米国インダストリーにおいても同様です。米国で研究職に就くためには博士号を持っていることが最低条件です。修士号以下はほぼ例外なく技術職(テクニシャン)となります。そのため研究職として採用されると、入社直後であっても、すぐにテクニシャンに実験の指示をしなければいけなくなる状況が発生します。したがって即戦力と成りにくい研究者は、そのグループ全体の生産性を著しく下げることになるため、採用を見送られることになります。

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