とあるM2のひとりごと



第1回(更新日:2013年1月28日)

はじめまして。+短期留学に意味はない?

はじめまして、こんにちは。一度お目にかかった方もいるかもしれません。
少し前にオピニオンで記事を書かせていただいたM2です。
連載という形で自分の考えを書かせていただけることになりました。

「M2」という非常に中途半端な立場
(あれですね、ラボでは上でもなく一番下でもなくという微妙なポジションですね。
 そして就職する私はさらに微妙な立ち位置です。)からの意見になるので
ここで他に執筆されている方々とは少し違った意見になると思います。

是非、実験の合間に、論文執筆の合間に、
ボスとやりあってやる気が起きないときなどに読んでいただければと思います。

さてさて、初回なので何を書こうかなぁ、と思ったのですが・・・。
(自己紹介は省略します。興味のある方は、私の書いた『海の見える街から』をどうぞ。)
ちょうどこの間まで短期留学をしていたので
「短期留学には意味がない?」という観点で私の意見を書いて行こうと思います。

留学を思い立ったのは昨年の6月頃でした。
就職先も決まって、あとは卒業論文書いて卒業するだけ。
「さて、学生時代にやっておきたかったことってなんだ?」と考えました。
色々考えた中で「そういえばずっと留学してみたいと思っていた。」ということを思い出しました。
就職すれば長期の休みを取ることもできなくなるし、今しか出来ない!
と急に思い立ち、一気に日程も何もかも決めてしまいました。
(母には絶対反対されると思ったので、何もかも決めてから言いました。1人娘は大変なのです。)

研究室のボスを説得し(というか、期待されてないからか『あ、そう。』程度の反応でした。)
全部手続きを済ませ、留学に出発するまで英会話教室にも通いました。

元々英語は好きだった「はず」の科目。
そして、一番得意だった「はず」の科目。

それが、大学院に入ってから周りを見てばかりいて、
すっかりその自信も失い、苦手なものになっていました。
だからこそ、海外のどこかの研究室で勉強するのではなく、
私費留学で「英語学校」に通うという選択をしました。
いきなり海外の研究室に放り込まれて専門的な話を英語でされたら
拒絶反応が出るに違いないと思ったのです。

正直、英語学校に通ったのは正解だったと思っています。
「研究と離れて、全く違う世界の人達と生活できた」からです。

短期留学中、特に私が仲良くしていた人達は社会人だったり文系の人ばかりだったので
いつも出会うことのない世界の人と触れ合うことが出来たことが
非常に新鮮で、色々と考えさせられるきっかけにもなりました。

社会人で会社をやめて、スキルアップするために英語を学びにきたという友達もいました。
ビジネスを学んで来い、と言われて海外の大学に進学するという友達もいました。
どうしても、こっちでホテルのインターンシップをしたい!という友達もいました。
高校の英語教師になりたいけど、高校の英語の授業を全部英語でやらなきゃいけなくなるから勉強しにきた、
という日本人の友達もいました。
色んな理由で、大学を休学して、会社を辞めて勉強しにきている人ばかりでした。

いろんな人の話を聞いて、そして私の話をしていく中で
自分が今までどんなに狭い世界で生きていたのかを感じることが出来ました。

そうだよなぁ、あんな狭い世界で生きてたらあんな風にもなっちゃうよなぁ・・・
なんてとある上司の顔を思い浮かべたのは秘密ですが。

研究と離れたからこそ、研究を客観的に見ることができるようになりましたし、
自分がこれから「どう生きて行けばいいのか」を周りの人達を見ながら考えることが出来ました。
いつも周りの先輩達や先生達を見ていても「研究者としての将来像」しか見えませんが
色々な分野の人、国籍が違うことで考え方も様々なこともあってかより多彩な将来像を見ながら考えることが出来ました。

あと、何よりも大きな収穫だったのは英語に対して
「あ、完璧じゃなくていいんだな」と気付いたことでした。

海外で生活するために、間違っていたとしても単語を知らなかったとしても
なんとかして伝えなければならない、という状況に自分の身を置くことで
間違うことへの恐怖心もなくなり、完璧じゃなくてもいいんだな、と思えるようになりました。

短い期間でしたが毎日英語ばっかり話して、
一生懸命自分の気持ちを伝えて毎日過ごしたことで
かなり英語のスピーキング能力は向上しました。
研究室に戻って外国人のポスドクの方にすごくびっくりされました。
日本で通っていた英会話教室でもレッスンのレベルが一気に上がったりしました。

なんとかこの英語力を維持しようと今も必死に勉強を続けています。

結論として、私費で留学したことは非常にいい経験になりました。
私の将来への考え方においても、英語力においても。

「短期留学なんて意味ない」という人がほとんどだと思います。
私もたくさんの人に言われました。

でも、「ちょっと海外に行ったぐらいで英語が喋れるようになんてならないよ」
と言うだけで何も行動しない人よりも、たくさんのものを得て帰国することが出来ました。

短期留学に意味はない?
私ははっきりとNOと答えます。
大切なのは長さではなく、本人がどれだけやろうと思っているかです。
そして、英語が話せるようになるという観点だけでなく、
考え方や感覚などに大きな変化をもたらしてくれると思います。

個人的には、研究で海外留学する方にも是非とも英語学校に行って欲しいなと思いました。
きっと、自分がいつもいる世界とは全く違う世界で、
(まわりが研究者ばかりでないコミュニティって新鮮です、本当に)
新たな発見をすることができると思います。
研究のことは考えずに、英語の勉強をするためだけに学校に通う。
それもアリだと思いませんか?

こんな感じでこれから数回に渡って連載をさせて頂きます。
よろしくおねがいします(・∀・)




執筆者:研究者を目指していたとあるM2

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