Nature/Scienceのニュース記事から



第76回(2014年11月28日更新)

Novartis社が過去に研究不正を行った従業員を解雇

米保険福祉省研究公正局は、Novartis社に勤める研究者Igor Dzhura氏が米国公衆衛生局により資金を受けていた研究において不正を行ったとする結論を出した。

Igor Dzhura氏は以前バンダービルト大学で研究員として働いており、その後SUNY Upstate Centerを経て、Novartis社で研究に従事することになった。Novartis社は、米保険福祉省研究公正局の発表を受け、同氏を即日回顧した。

Novartis社は、「Dzhura氏は当社の求人に応募する際に、不正のあったデータを使用した論文を業績として挙げていた。データの操作は許容できるものではなく、当社はDzhura氏の雇用を終了した。現在は内部調査を行っており、当社における同氏の研究に不正がなかったか確認中である」とWall Street Journalの取材に対して答えた。

研究不正を監視するブログ「Retraction Watch」によれば、同氏の論文は500回以上引用されている。

研究公正局の報告によると、同氏の少なくとも7報の論文と3つの研究費申請書において、掲載された12個の図に含まれる69個の画像に流用や修正・加工の形跡が見られたという。

不正があったとされた論文:
  Nature Cell Biology:2000
  The Journal of Physiology: 2001
  Circulation: 2002
  The Journal of Physiology: 2002
  The Journal of Physiology: 2003
  FASEB Journal: 2005
  Molecular Cell: 2006

Dzhura氏は、今後3年間、米国政府機関と契約を結ぶことが出来ない。また、公衆衛生局のコンサルタントや査読者などにもなれない。

SUNY Upstate Centerでの上司であったGeorge Holz教授は、「Dzhura氏は2010年に私の研究室を離れ、それ以来は疎遠になっていた。研究公正局が調査をしていることは知らなかった。知らせてもらって感謝している。彼は私の研究室で2009年〜2010年の間に働いていたが、彼の以前の研究に疑問が持たれていることは彼自身からも周りからも聞いていない」とRetraction Watchに書き込んでいる。

Retraction Watchの設立者の1人であるIvan Oransky氏は「採用前の研究不正の発覚により製薬会社が従業員を即日解雇するのは前例のないことである」とWall Street Journalに投書している。

http://www.biospace.com/News/novartis-ag-fires-scientist-who-falsified-data-in/356043/source=TopBreaking

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