読書感想文:「ポストドクターの正規職への移行に関する研究」を読んで
Tweetその3(更新日:2014年06月29日)
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この連載記事書くの飽きた。(挨拶)
BioMedサーカス.comの読者の皆様こんにちは、週に1回の「駄文」のコーナーです。え、こんなウィットに富んだ面白い文章を書いてるのに「駄文」だなんて自虐風自慢はいらない?
ははは、ネットで誰かに煽られただけですよ。でも私は鋼の精神力を持ってますからね。どこの馬の骨かもわからないようなコンプレックスの固まりの小心者の戯言なんかでは私は全然動揺しませんよ(顔を真っ赤にして震える手でありとあらゆる悪口を書くためにキーボードを打ちながら)。
さて、「駄文(←根に持ってる)」らしいグダグダとした挨拶はここまでにして本題に入りましょう。
この連載は、文部科学省(正確には文科省直属の国立の機関のようですが)に所属する方が文部科学省のサイト(正確には文科省直属の国立機関のサイトですが)で発表した「個人の見解 (ポストドクターの正規職への移行に関する研究:http://www.nistep.go.jp/wp/wp-content/uploads /NISTEP-DP106Fullj.pdf)」を「広義のポスドク」である私が読み解こうという主旨のもとで始まりました。(一文が長いよ!)(そもそもそんな主旨だったのかよ!) (前回と同じボケかよ!)(というか、この文章はボケなのかよ!)
ということで、一見さんはおろか、リピーターの読者様(<そんなのいるのか?)までもブラウザを閉じてしまったかと思いますが、気にせず話を進めます(去っていく読者様の後ろ姿を指を加えて見つめながら)。
この報告書が文部科学省のサイト(正確には文科省直属の国立機関のサイトですが)にアップロードされた後に、複数のメディアで取り上げられたのは、既にお伝えしたとおりです(本連載その1を参照)。
それらメディアでは主に、「ポスドクの正規職への移行は6%足らずで、他の学歴よりのそれよりも圧倒的に低い」という感じで紹介していました。
ですが、疑り深い私は(というよりもこちらの連載の教授を心酔している私は)、そういった数値や結論が、どういう情報でどういう根拠の元に導きだされたかをきちんと理解したいと思い、件の報告書(http://www.nistep.go.jp/wp/wp-content/uploads /NISTEP-DP106Fullj.pdf)を読むに至りました。
このPDFファイルは全部で38ページありますが、中身はそんなに濃くありません(←さらっと問題発言をしてみた)。何故かというと、この報告書は「要旨」「概要」「本編」の3つの構成で出来ていて、それぞれ内容が重複してるからです。
で、中身が濃くない理由があと二つあります。一つは白紙ページが多い(何故だ?)と、もう一つは、そもそもの調査が浅いです(←またしても問題発言をしてみた)。
白紙が多いってどういうこと?という読者がいるかもしれないので、件の報告書の各ページの割当を紹介しましょう。
1ページ目:表題
2ページ目:注釈(くわしくはその1をご覧あれ)
3ページ目:要旨(日本語&英語:その2で少しツッコミを入れました)
4ページ目:白紙
5ページ目:目次
6ページ目:白紙
7ページ目:「概要」という単語のみ
8ページ目:白紙
9ページ目〜15ページ目:概要の文章
16ページ目:白紙
17ページ目:「本編」という単語のみ
18ページ目:白紙
19ページ目〜37ページ目:本編の文章
38ページ目:白紙
私、この報告書を印刷して、それを読む前にホチキスでとめたのですが、白紙があまりに多くてビックリしました。でも、ホチキスを使ってしまったのでプリンターに戻すこともできずに途方に暮れていました(なんて地球環境に悪い報告書!)。
で、とりあえず白紙部分には本報告書のツッコミどころをメモしていたのですが、これがまた思ったよりもツッコミどころが多くて、白紙部分が多くて助かったという感じでした。いや、助かったというのは違いますね。この白紙部分は正にこのために(ツッコミどころをメモするため)用意されたと考えるべきでしょう!(多分違う)
さて、では改めて報告書の内容のツッコミに行きましょう。前回は要旨(3ページ目)の1文目でトラップ(?)に引っかかってしまって先に進めなかったので、今回は少なくとも要旨は全て紹介しようと思います。
この要旨、実は分量は多くないので以下に全文を引用します。(前回もそうすれば良かったね!)
(引用ここから)
研究機関に在籍している「狭義」のポストドクターの場合、将来のキャリアパスが不透明であり、任期を繰り返しつつ不安定な雇用のままで高齢化することが問題視されている。この現状と要因について明らかにするために、本研究では文部科学省 科学技術・学術政策局 基盤政策課で実施した『ポストドクター等の雇用・進路に関する調査−大学・公的研究機関への全数調査(2009年度実績)』の個票データを用い、正規職(常勤、任期なし)への移行に関する分析を行った。ポストドクターは30−34 歳で最も多く、博士課程修了後の年数は平均4〜5年である。正規職への移行率は博士修了後5〜7年程度でもっとも高く、ポストドクターというトレーニング期間を経て、任期の変わり目で移行するケースが多いことが明らかになった。しかし平均移行率は6.3%と、一般大卒者の非正規職から正規職への移行率よりも著しく低い状況にある。特に女性、理学・医学系、競争的資金で雇用されている者の移行率が有意に低いことから、これらの状況を踏まえた上で、任期の変わり目である5年目辺りまでに、安定した職へ移行できるような支援が必要であることを指摘している。また今後の課題として、本データでは捕捉されていない有期の特任助教から正規職への移行についても検討する必要がある。
(引用ここまで)
「要旨」ということで、文章中の情報や考察が足りない点があるのは仕方がないと思います。実際に後のページで出てくる「概要」や「本編」にはより詳細な内容が出てきています。
ただ、それにしても不可解な点が多々あります。文章にするのが面倒なので箇条書きにしてみましょう(「→」の先は各ポイントに対する私のコメント)。
・「狭義」のポストドクター
→その2でツッコミ済み
・本研究では文部科学省 科学技術・学術政策局 基盤政策課で実施した『ポストドクター等の雇用・進路に関する調査−大学・公的研究機関への全数調査(2009年度実績)』の個票データを用い、正規職(常勤、任期なし)への移行に関する分析を行った
→この報告書は以前の調査結果を使っているということなので、そっちの報告書も読まないといけないのかな・・・。
・正規職への移行率は博士修了後5〜7年程度でもっとも高く、ポストドクターというトレーニング期間を経て、任期の変わり目で移行するケースが多いことが明らかになった。
→「正規職への移行率」ってどうやって調べたんだろう?「任期の変わり目で移行」ってどうやって確認したんだろう?
・しかし平均移行率は6.3%と、一般大卒者の非正規職から正規職への移行率よりも著しく低い状況にある
→一般大卒者との比較ってどうやって調べたんだろう?
・特に女性、理学・医学系、競争的資金で雇用されている者の移行率が有意に低いことから、これらの状況を踏まえた上で、任期の変わり目である5年目辺りまでに、安定した職へ移行できるような支援が必要であることを指摘している
→前半部分と後半部分がきちんと繋がってないように思うけど・・・?でも、「正規職」だとか「安定した職」だとかという表現がポスドクの対として出て来てる当たり、本当にポスドクって「悲惨な職」扱いなんですね。
・また今後の課題として、本データでは捕捉されていない有期の特任助教から正規職への移行についても検討する必要がある。
→やっぱり特任助教はポスドクなんですね(前回の文章も読んでみてね)
ふーむ、ほぼ全ての文章に疑問点がありますね。でも、とりあえずは本報告書が使ったという『ポストドクター等の雇用・進路に関する調査−大学・公的研究機関への全数調査(2009年度実績)』をチェックしないとこういった疑問点には答えられなさそうです。
ということで、ネットで検索してファイル(http://data.nistep.go.jp/dspace/bitstream/11035/930/7/NISTEP-RM202-FullJ.pdf)をダウンロードしてみました。
全部で219ページ?
・・・読み終わるまで連載は休止ということでお願いします。
執筆者:広義の意味でのポストドクター