ポスドク座談会



前編 4ページ目/全5ページ(更新日:2011年6月15日)

ボスとポスドクの関係

Cさん:実はボスとはほとんど会ったことがないです。ボスはもの凄く忙しくてラボにはあまり来ないんですよね。

Dさん:実験のディスカッションとかはしないんですか?

Cさん:2、3ヶ月くらいに1回の割合でボスと1対1で話すことはあるんですが、1回につき30分もないので、以前に僕が伝えたデータとかは完全に忘れてますね。僕がプレゼン用の資料を説明したあとで、ここら辺をもう少し試してみようか、とかその場で考えて言うだけですね。それで、細かい実験とかはラボの古参メンバーに聞けという感じです。

Bさん:ラボは何人いるんですか?

Cさん:えーっと、そうですね、40人から50人くらいでしょうか?結構、人の入れ替わりが激しいので正確な人数は把握してません(笑)。しかも、ラボ内に古参メンバーが小グループというかミニ・ラボを作っていたりするので、その下に来るポスドクなんかは気がついたら帰国してたとかありますね。

Eさん:そういう形式のラボは増えてきているような気がしますね。大きなラボのトップが大ボスで、そのラボの枠組みのなかに小ボスがいて半分独立のような形でミニ・ラボを形成している。

Cさん:まさにそれかもしれません。

Eさん:そういう形態は、良い面もあり悪い面もありますね。

Aさん:良い面、悪い面とは、ポスドクにとってということですか?

Eさん:いや、違います。ラボを運営するという意味です。そういう形態の小ボスは自分でもグラントを取れる状態にあるので、大ボスと小ボスが取ってきたグラントをラボ全体で共有することが多いですね。ですので、そのラボの経営状態は安定することになります。仮に誰かがグラントを切らしたとしても、その間は他の人のグラントで食いつなげますからね。結果として潰れにくいラボになるということです。まあ、大ボスが超強力で、小ボスはその恩恵に預かっているというのが実際のところだと思いますが。少し皮肉っぽく言えば、大ボスが小ボスの名前を借りてグラントを獲得しているということですかね。

Bさん:そんなこともあるんですね。私のラボはボスとポスドク2人とテック2人の弱小ラボなので、そんな形態のラボがあるなんて知らなかったです。大きいラボはいいなあなんて思ってたんですが、そういうラボにポスドクとして行くのはどうなんですか?

Eさん:小ボス・システムがあるラボに行くのは慎重にした方がいいですね。大ボスのところに留学したつもりが、気がついたら小ボスのラボのポスドクになっていたということは珍しくないですから。小ボスが優秀なら問題ないんですけど、小ボスの研究能力が低くて論文が出ないなんてことはよく聞きます。逆に、大ボスの下についたとしても、大ボスが忙しすぎてディスカッションが出来なくて研究が進まないということもありますね。まあ、大ボスが大御所で小ボスも優秀で二人の仲が良く、小ボスの下について日々ディスカッションが出来て論文が大量に出るというのがベストですね。

Aさん:ハードルが高いですね。

Eさん:確かに。でも、良いビッグラボがないということはないですよ。ただ、珍しいということです。小ボスが優秀なら、別に小ボスとして半独立しなくても普通に独立ラボを持てばいいだけですからね。

Cさん:Eさん、すごいですね。僕のラボの状態を見てきたかのようです。うちには小ボスが複数いるのですが、基本的に大ボスより小粒です。ただ、大ボスから信頼されている優秀な小ボスもいて、その人の下にいるポスドクは幸せそうです。僕もその人の下に行けば良かったかもしれないです。

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